2026年9月26日土曜日

教員採用試験の模擬授業対策|評価されるポイントと10分授業の作り方

教員採用試験の模擬授業対策をイメージした、黒板、教科書、授業計画ノート、教材が整った明るい教室

教員採用試験の模擬授業で、何をすれば評価されるのか。

大きな声で話す。

笑顔で授業する。

きれいに板書する。

もちろん、どれも大切です。

しかし、それだけでは十分ではありません。

模擬授業で見られているのは、単なる「授業のうまさ」ではなく、あなたが教師として子どもをどう見て、どう学ばせようとするのかです。

私は現在、公立小学校で教員として授業をしています。

また、東京都教員採用試験を時期を隔てて2度受験し、いずれも最終合格しました。

実際に教壇に立つ立場から見ると、模擬授業で大切なのは、華やかなテクニックよりも基本的なことです。

ねらいがある。

子どもに考えさせようとしている。

分かりやすく指示できる。

子どもの反応を受け止められる。

この記事では、教員採用試験の模擬授業を、実際の授業づくりの視点から具体的に解説します。

先に結論

短い模擬授業でも、最低限見せたいのは次の3つです。

1.何を学ばせたいのか
2.どう考えさせるのか
3.子どもの反応をどう受け止めるのか

10分しかなくても、「教師が説明して終わる授業」にはしないでください。

教員採用試験の模擬授業とは?

模擬授業は、実際の授業を想定し、受験者が短時間の授業を行う試験です。

ただし、全国共通の形式ではありません。

自治体によって、

・授業時間
・テーマの提示時期
・指導案の有無
・教材の持込み
・板書の方法
・児童生徒役の有無

などが異なります。

例えば、2026年実施の神奈川県では、テーマに沿った1単位時間の授業計画を立て、導入から展開にかけて最初の10分間を模擬授業として行う形式が公表されています。

同じグループの受験者が児童・生徒役になります。

一方、横浜市の2026年春実施試験では、面接員を児童生徒に見立てて8分間の模擬授業が行われました。

まず確認すること

練習を始める前に、受験自治体の最新の実施要綱・受験案内を確認してください。

前年の受験者の体験談だけで準備しないことが大切です。

模擬授業では何を評価される?

評価項目も自治体によって異なります。

ただ、公式に公表されている評価観点を見ると、大切なポイントが分かります。

2026年実施の神奈川県では、大きく

指導力・表現力
板書や指示、教材の工夫、柔軟な対応、子どもの意欲を引き出す構成など
姿勢・態度
活気や熱意、児童生徒との向き合い方、安心感、誠実さなど

が評価観点として示されています。

つまり、模擬授業は単なるパフォーマンス試験ではありません。

「この人が実際に教室に立ったとき、子どもとどう関わるのか」

も見られていると考えた方がよいでしょう。

現職教員から見る「評価される模擬授業」5つのポイント

1.授業のねらいがはっきりしている

最初に考えるのは、「何を話すか」ではありません。

この時間で、子どもに何を考えさせ、何を分からせたいのか。

ここから考えます。

例えば算数なら、

「割り算のやり方を説明する」

よりも、

「同じ数ずつ分ける場面から、割り算を使う意味に気付かせる」

のように考えます。

ねらいが明確になれば、発問・板書・活動がつながります。

2.教師が話しすぎない

模擬授業は時間が短いため、焦って説明を詰め込みやすくなります。

すると、

「今日は○○について勉強します。○○とは~です。そして~です。」

と教師が話し続ける授業になります。

これでは、模擬「授業」ではなく短い講義になってしまいます。

短時間でも、

「どうなると思いますか?」
「どこが違いますか?」
「なぜそう考えましたか?」

など、子どもが考える場面を作ります。

3.発問した後に待てる

模擬授業でありがちなのが、発問した直後に自分で答えてしまうことです。

沈黙が怖いからです。

しかし、実際の授業でも子どもが考えるには時間が必要です。

発問したら、一度教室全体を見る。

ほんの数秒でも構いません。

子どもが考えるのを待てる教師であることを見せます。

4.子どもの答えを受け止める

児童生徒役が答えてくれる形式なら、答えを単なる進行材料にしないことです。

例えば、

児童役「3だと思います」

教師「はい、正解です。次。」

だけでは、やり取りが浅くなります。

少し変えるだけで授業らしくなります。

「3だと考えたんですね。どこを見てそう考えましたか?」

「なるほど。○○に注目したんですね。」

「今の考え、みんなはどうですか?」

答えを言わせることが目的ではありません。

子どもの考えを次の学びへつなげます。

5.安心して授業を受けられる雰囲気がある

声が大きければ評価されるわけではありません。

元気さを見せようとして必要以上に声を張ると、不自然になることもあります。

大切なのは、

・聞き取りやすい声
・落ち着いた表情
・児童生徒役を見る視線
・短く分かりやすい指示
・間違った答えも否定しない反応

です。

特に「安心感」は、実際の学級でも非常に重要です。

10分の模擬授業はどう組み立てる?

10分しかないからといって、10分で1時間の授業を完結させる必要はありません。

自治体によっては、1単位時間の授業の一部分を行います。

その場合、

「10分だけで完結するミニ授業」

ではなく、

「45分・50分授業の中の自然な10分」

として考える方が授業らしくなります。

10分授業の基本例

時間 内容 ポイント
0~1分 導入 短く学習へ引き込む
1~3分 課題提示 何を考えるか明確にする
3~6分 思考・発問 教師が話しすぎない
6~9分 考えの共有 子どもの考えをつなぐ
9~10分 次の展開へ 無理に授業を完結させない

もちろん教科や指定された場面によって変わります。

ただし、共通して注意したいのは導入に時間を使いすぎないことです。

面白い導入を作ろうとして5分使ってしまうと、子どもが考える場面を見せられません。

導入は「盛り上げること」が目的ではない

模擬授業対策では「導入が大切」とよく言われます。

これは間違いではありません。

しかし、導入の目的は試験官を驚かせることではありません。

子どもが、

「あれ?」
「どうして?」
「やってみたい」

と思い、学習へ入っていくためのものです。

派手な教材や演技がなくても、よい導入は作れます。

発問はたくさん用意しない

短い授業だからといって、質問を次々に投げる必要はありません。

むしろ、中心となる発問を1つか2つに絞った方が、授業のねらいが伝わります。

ありがちな例

「これは何ですか?分かりますか?なぜですか?ほかには?どう思いますか?」

改善例

「2つの方法を比べて、違うところはどこでしょう。」

→考える時間

→児童の答え

→「どこを見てそう考えましたか?」

発問の数ではなく、子どもの思考が動くかで考えます。

板書で大切なのは「きれいさ」より構造

字の美しさだけを気にする必要はありません。

最低限、読みやすければ大丈夫です。

それ以上に大切なのは、板書を見たときに、

・今日の課題
・子どもの考え
・比較するもの
・大切な言葉

が分かることです。

何となく思いついたことを書くのではなく、事前に簡単な板書計画を作っておきます。

児童・生徒役が反応してくれないときは?

これは模擬授業特有の難しさです。

実際の子どもではなく、面接官や他の受験者を相手にする場合があります。

当然、普段の教室のような反応が返ってこないこともあります。

ここで焦って、

「誰も答えませんね。では先生が言います。」

と進めないことです。

少し待ちます。

必要なら、

「○○に注目してみましょう。」
「隣の式と比べるとどうでしょう。」

と考える手掛かりを出します。

答えを教える前に、支援を一段入れる。

これは実際の授業でも大切です。

予想外の答えが返ってきたら?

むしろ、教師としての対応力を見せられる場面です。

想定していた答えと違っても、すぐに否定しないでください。

「違います。」

ではなく、

「そう考えたんですね。どこからそう思いましたか?」

と一度受け止めます。

その後、別の子の考えや教材へつないでいきます。

一字一句決めた台本を暗記していると、予想外の反応に弱くなります。

模擬授業の台本は作るべき?

流れは作る。セリフは丸暗記しない。

準備しておきたいのは、

・授業のねらい
・導入
・中心発問
・予想される子どもの反応
・反応への切り返し
・板書計画
・次の展開

です。

一方で、教師のセリフを全文書いて暗記すると、少し予定が変わっただけで止まりやすくなります。

授業は会話です。

大枠を決め、言葉はその場で出せるように練習します。

模擬授業でやってはいけない7つのこと

1.教師がずっと話し続ける

短時間でも子どもが考える時間を作ります。

2.授業の目的より「ウケ」を狙う

面白い導入でも、学習のねらいにつながらなければ意味がありません。

3.発問してすぐ自分で答える

数秒でもよいので待ちます。

4.児童生徒役の答えを評価するだけ

「正解です」で終わらず、理由や別の考えにつなげます。

5.板書しながらずっと黒板を見る

書き終わったら、子どもの方へ体を戻します。

6.指示が長い

一度にたくさん言わず、「何をするのか」を短く伝えます。

7.完璧にやろうとして固まる

少し言い間違えても授業は続けられます。

落ち着いて修正する姿も教師には必要です。

模擬授業はどう練習する?

記事を読んでいるだけでは上達しません。

必ず立って、声を出して練習してください。

ステップ1 一人で実際にやってみる

スマートフォンなどで撮影します。

見るポイントは、

・声の大きさ
・話す速さ
・視線
・板書時間
・教師が話している割合
・発問後に待てているか

です。

ステップ2 時間を測る

本番が10分なら、必ず10分で練習します。

「本番になれば短くできる」は危険です。

緊張すると、普段より話が長くなることもあります。

ステップ3 人に児童役をしてもらう

できれば、わざと予想外の答えも言ってもらいます。

そのとき、どう返すか練習します。

ステップ4 授業の意図を説明する

授業後に、

「なぜこの発問にしましたか?」
「この後どう展開しますか?」
「理解できない子がいたらどうしますか?」

と聞かれても答えられるようにします。

授業の意図を言葉にできることも重要です。

現職教員として一番伝えたいこと

模擬授業を練習していると、

「どうすれば試験官によく見えるか」

ばかり考えてしまいます。

しかし、本来、授業で見る方向は試験官ではありません。

子どもです。

目の前の子どもに何を考えてほしいか。

分からない子がいたら、どう助けるか。

子どもの答えを、次の学びへどうつなげるか。

そこから作った授業は、結果として模擬授業でも自然になります。

試験官へ見せる授業ではなく、子どもへ向けた授業をする。

これが、模擬授業対策で一番忘れてほしくないことです。

よくある質問

模擬授業では笑顔の方がいいですか?

基本的には、子どもが安心できる柔らかな表情を意識します。

ただし、ずっと笑っている必要はありません。

子どもの話を聞くときには真剣に聞くなど、自然で構いません。

黒板に字を書くのが遅いです

授業時間の多くを板書に使ってしまうなら練習した方がよいです。

ただし、字を美しくする競技ではありません。

書く内容そのものを絞ることも大切です。

緊張してセリフを忘れたらどうしますか?

セリフではなく授業の流れを覚えてください。

「次に何を考えさせるか」が分かっていれば、言葉が多少変わっても授業は続けられます。

模擬授業は何回練習すればいいですか?

回数だけで決める必要はありません。

ただし、一度も人前でやらずに本番へ行くことはおすすめしません。

時間を測った通し練習と、他者からフィードバックを受ける練習は行ってください。

場面指導と模擬授業は同じですか?

同じではありません。

模擬授業は授業場面を実演する試験です。

場面指導や模擬対応では、学校で起こる具体的な状況にどう対応するかを見る形式があります。

自治体によって名称や形式が異なります。

まとめ|模擬授業では「教師らしく見せる」より子どもを見る

模擬授業で意識すること

1.授業のねらいを明確にする
2.教師が話しすぎない
3.中心発問を絞る
4.子どもが考える時間を作る
5.答えを受け止めてつなぐ
6.板書・指示を分かりやすくする
7.予想外の反応にも落ち着いて対応する

模擬授業は、完璧な授業を披露する試験ではありません。

実際の学校現場でも、予定通りに進まない授業はいくらでもあります。

大切なのは、

子どもの反応を見ながら、学びを前へ進めようとすることです。

まずは受験自治体の実施方法を確認し、本番と同じ時間で一度授業をしてみてください。

頭の中だけで考えていたときには見えなかった課題が分かります。

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制度情報について

模擬授業の実施有無、時間、テーマの提示方法、指導案・教材の持込み、児童生徒役の有無、評価方法などは自治体・年度・選考区分によって異なります。

本記事では2026年実施の神奈川県・横浜市の公表情報を確認しています。実際に受験する際は、必ず受験自治体の最新の実施要綱・受験案内を確認してください。



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