教員採用試験の集団討論を前にして、次のようなことで悩んでいませんか。
- 何回くらい発言すればよいのか
- 司会を引き受けた方が評価されるのか
- 他の受験者の意見に、どう返せばよいのか
- 自分と違う意見が出たとき、反対してよいのか
- 誰も話さないとき、自分から発言してよいのか
集団討論には、筆記試験のような明確な正解がありません。
発言回数を増やせばよいわけでも、司会を務めれば必ず高く評価されるわけでもありません。
一方で、他の受験者に合わせているだけでは、自分の考えを示せません。
私は東京都の教員採用試験を、2004年前後と2022年の2回受験しました。
一度教員を退職した後、約18年を経て再受験したためです。
結果は、2回とも最終合格でした。
この記事では、2回の集団討論を実際に経験して分かった、
発言、傾聴、立ち回りの基本を解説します。
現在の東京都教採について
東京都では、2023年実施の教員採用選考から集団面接が廃止されました。
2026年実施の最新選考でも、第二次選考は個人面接と対象者の実技です。
この記事は現在の東京都教採で集団討論が行われている、という意味ではありません。
現在も集団討論・集団討議を実施する自治体を受験する人に向けて、
私の実体験から応用できる考え方を紹介しています。
東京都教員採用選考の最新実施要綱を確認する
2004年と2022年に経験した集団討論
私が受験した2回の試験では、テーマの提示方法が異なっていました。
| 受験時期 |
テーマの提示方法 |
出題されたテーマ |
| 2004年前後 |
事前提示なし |
過疎化が進んだ商店街を活性化するためには、という趣旨 |
| 2022年 |
4テーマを事前提示 |
児童が自信をもつために担任としてどう取り組むか、という趣旨 |
2004年前後は教育と直接関係のないテーマでしたが、2022年は学校現場に関するテーマでした。
一方、集団討論の基本的な構成は、2回ともほぼ同じでした。
- 最初に一人ずつ指名される
- 90秒以内で自分の意見を述べる
- その後、受験者5人で約70分間話し合う
- 司会は立てても立てなくてもよい
- 評価者は討論中に口を挟まない
- 最後にグループとして結論を発表する時間はない
2022年の会場では、受験者5人が机と椅子を使って横一列に座り、
正面に評価者が3人いました。
テーマの提示後には、A4の白紙へ1分30秒から2分ほどメモでき、
討論中もメモを取ることが認められていました。
集団討論で最も大切だと感じたこと
2回の受験を通して、私が最も大切だと感じたのは、
相手の意見を受け止めたうえで、自分の考えを加えることです。
例えば、他の受験者が次のように発言したとします。
児童に自信をもたせるためには、教師が児童のよいところを見つけて褒めることが大切です。
ここで、
私も賛成です。
だけで終わると、自分の考えがほとんど伝わりません。
次のように、相手の意見を受けながら、自分の視点を加えます。
児童のよいところを教師が認めるという意見は大切だと思います。
そのうえで、教師に褒められるだけでなく、児童自身が自分の成長に気付けるようにすることも必要だと考えます。
例えば、以前の作品や学習記録と比較し、自分で伸びたところを振り返る時間を設けます。
この発言には、次の要素が入っています。
- 相手の話を聞いている
- 相手の意見を尊重している
- 自分の視点を加えている
- 具体的な取組を示している
協調性と迎合は違う
2022年の試験では、他の受験者の意見に賛成することが中心で、
自分の考えや具体策がほとんど見えない人がいました。
協調性を示そうとしていたのかもしれません。
しかし、協調性とは、自分の考えを消して周囲に合わせることではありません。
相手を尊重しながらも、次のいずれかを加える必要があります。
- 賛成する理由
- 具体例
- 別の場面への応用
- 不足している視点
- 実際に行う取組
- 期待できる効果
私は自分と少し異なる意見が出たときにも、すぐに否定せず、
次のように話しました。
なるほど。では、こういう場合はどうでしょうか。
相手がまだ扱っていない場面を示し、その意見をさらに深めるようにしました。
司会を無理に引き受ける必要はない
私は2回とも司会役を務めていません。
司会を立てても立てなくてもよい試験であれば、
司会を務めたというだけで高く評価されるとは限りません。
司会になった結果、
- 進行ばかりを気にする
- 自分の意見を言えなくなる
- 他の受験者を無理に仕切る
- 話の内容を理解できなくなる
という状態になれば、かえって不自然です。
重要なのは、司会という役割を得ることではなく、
必要な場面で自然に発言し、話合いを前へ進めることです。
誰も話さなくなったとき、私は特別な進行用語を使わず、
普段の会話のように入りました。
「さっきの話ですが、私はこう思います」
「今の意見を聞いて、もう一つ考えたことがあります」
「今の話に関連して、こういう場合はどうでしょうか」
発言回数だけを目標にしない
私は2022年の本番で、10回以上発言しました。
ただし、「10回以上話そう」と事前に決めていたわけではありません。
必要だと思った場面で自然に発言した結果です。
発言回数だけを目標にすると、
- 他の人の発言を遮る
- 同じ内容を繰り返す
- まとまりかけた話を元へ戻す
- 自分ばかりが話す
- 他の人の発言機会を奪う
という失敗につながります。
大切なのは回数ではなく、その発言が、
- 新しい視点を加えた
- 抽象的な意見を具体化した
- 他の受験者の意見をつないだ
- 沈黙した話合いを動かした
- 論点を整理した
という働きをしているかです。
発言していない時間も見られている
評価者は正面に座っています。
自分が発言しているときだけでなく、他の受験者の話を聞いているときの姿も見えます。
私が試験中に気になったのは、無表情で、うなずきが全くない受験者でした。
大げさな笑顔を作る必要はありませんが、
- 話している人を見る
- 自然にうなずく
- 必要な箇所だけメモする
- 表情を硬くしすぎない
- 聞き取りやすい声で話す
といった、普段の会話でも必要な姿勢を意識しましょう。
集団討論を本番形式で練習したい人へ
この記事では基本的な考え方を紹介しました。
有料noteでは、2度の受験・2度の最終合格経験をもとに、
実際に練習できる教材としてまとめています。
- 最初の90秒発言の作り方
- A4メモ用紙の具体的な使い方
- 相手の意見を受ける発言フレーズ
- 自分と違う意見への対応
- 模擬討論の会話例
- 練習テーマ10問
- 一人でできる7日間練習計画
- 本番直前チェックリスト
読んで終わる体験談ではなく、声に出して練習できる内容です。
集団討論を受ける前の確認事項
集団討論の形式は、自治体、年度、校種、選考区分によって異なります。
過去に集団討論が行われていた自治体でも、翌年度に廃止や変更となる場合があります。
反対に、特定の選考区分だけで実施される場合もあります。
受験前には、必ず次の項目を公式の実施要項で確認してください。
- 集団討論・集団討議の実施有無
- 受験者の人数
- 討論時間
- テーマが事前提示されるか
- 最初の個人発言があるか
- 司会や役割についての指定
- メモ用紙や筆記用具を使用できるか
まとめ
集団討論で大切なのは、立派な司会者になることでも、
誰よりも多く発言することでもありません。
- 相手の話を聞く
- 相手の意見を一度受け止める
- 自分の視点や具体策を加える
- 異なる意見をすぐに否定しない
- 必要な場面では自分から発言する
- 話合いが前へ進むように貢献する
集団討論を、評価者に好かれるための演技だと考えすぎないでください。
目の前の受験者と、本当に一つのテーマについて話し合う。
その中で、相手を尊重しながら、自分の考えも伝える。
それが、自然で説得力のある集団討論につながります。