最終更新:2026年7月24日
東京都教員採用試験について調べると、 「小学校は1.2倍だから簡単なのでは?」 「倍率が低い今なら、ほとんど合格できるのでは?」 と思う人もいるかもしれません。
しかし、倍率を見るときには、 「応募倍率」と「最終倍率」を区別する必要があります。
直近の確定結果では、東京都の小学校全科合計の最終倍率は1.2倍でした。 一方、現在実施されている選考の小学校全科の応募倍率は2.4倍です。
どちらも正しい数字ですが、対象年度と計算方法が異なります。
私は、時期の異なる東京都教員採用試験で2度最終合格しました。 この記事では、東京都教育委員会の公式資料を基に、最新倍率の見方と、 倍率が低くても油断してはいけない理由を解説します。
- 直近の確定結果では、小学校全科合計の最終倍率は1.2倍
- 現在実施中の選考では、小学校全科の応募倍率は2.4倍
- 応募倍率と最終倍率は、分母と分子が異なる
- 東京都全体の現在の応募倍率は3.2倍
- 低倍率でも、基準を満たさなければ合格できない
- 倍率よりも、筆記・論文・面接を総合的に準備することが重要
東京都教員採用試験の最新倍率
まず、現在公表されている最新データを整理します。
| 選考 | 段階 | 小学校全科 | 倍率 |
|---|---|---|---|
|
令和7年度実施 令和8年度採用 |
確定結果 |
受験者2,569人 名簿登載者2,213人 |
最終1.2倍 |
|
令和8年度実施 令和9年度採用 |
応募時点 |
応募者2,813人 採用見込1,190人 |
応募2.4倍 |
令和8年度に実施されている選考は、2026年7月24日現在、 最終結果がまだ発表されていません。
そのため、現在分かるのは「応募倍率」であり、 最終的な受験者数や名簿登載者数を使った「最終倍率」ではありません。
応募倍率と最終倍率の違い
応募倍率
応募倍率は、おおむね次の数字を基に計算されます。
申込みをしたものの、実際には受験しない人もいます。 また、選考区分や免除制度の違いもあるため、 応募倍率だけで最終的な合格可能性を判断することはできません。
最終倍率
東京都の選考結果資料では、次の数字を基に倍率が示されています。
名簿登載者とは、選考を通過し、採用候補者名簿に登載された人です。
応募者全員を分母にする応募倍率よりも、 実際に受験した人を分母にする最終倍率の方が低くなる場合があります。
「応募倍率2.4倍」と「最終倍率1.2倍」を直接比較して、 倍率が急激に下がったと判断することはできません。 対象年度と計算方法が違うからです。
現在の応募倍率は再び上昇している
「教員採用試験の倍率は下がり続けている」と一括りにするのも正確ではありません。
令和8年度実施・令和9年度採用選考では、 東京都全体の応募者数は10,728人、採用見込者数は3,405人で、 応募倍率は3.2倍でした。
前年度の全体応募倍率は3.1倍だったため、 現在の応募倍率はわずかに上昇しています。
| 主な校種等 | 応募者数 | 応募倍率 |
|---|---|---|
|
小学校全科 英語コースを含む |
2,813人 | 2.4倍 |
| 中・高共通等 | 5,510人 | 3.8倍 |
| 特別支援学校 | 661人 | 1.6倍 |
| 全体 | 10,728人 | 3.2倍 |
校種や教科によって倍率は大きく異なります。 「東京都は低倍率だから簡単」と全体を一つの数字で捉えるのは危険です。
小学校が1.2倍でも油断できない理由
1.定員以内なら全員合格する試験ではない
教員採用試験は、単純に成績上位者を採用見込者数まで並べるだけの試験ではありません。
筆記、論文、面接など、それぞれで教員として必要な力を確認されます。 応募者が少なくても、必要な基準を満たしていなければ、 名簿登載に至らない可能性があります。
2.倍率は校種や教科をまとめた平均値
小学校全科合計が1.2倍でも、 すべての選考区分、受験者、試験段階が同じ条件という意味ではありません。
中学校・高等学校の教科によっては、 小学校より高い倍率となっています。
自分が受験する校種、教科、選考区分の条件を確認することが必要です。
3.低倍率でも面接対策は必要
東京都の第二次選考では、個人面接が行われます。
面接では、志望動機を暗記して話すだけでは不十分です。
- なぜ東京都を志望するのか
- どのような教師になりたいのか
- 児童・生徒への具体的な対応
- 保護者や同僚との連携
- 困難な場面での判断
- 自分の経験を教育へどう生かすか
こうした内容を、自分の経験と結び付けて具体的に話せるようにする必要があります。
4.倍率が低いと準備不足になりやすい
低倍率という情報を見て、 「少し勉強すれば受かるだろう」と考えること自体がリスクになります。
倍率が高い年でも低い年でも、 合格するために準備する内容は大きく変わりません。
むしろ、周囲が油断しやすい状況だからこそ、 基本的な対策を着実に行った受験者が有利になります。
令和8年度実施選考の主な内容
令和8年度実施・令和9年度採用選考の採用見込者数は、 全体で3,405人です。
一般選考の第一次選考では、基本的に次の試験が行われます。 ただし、選考区分によって免除される試験があります。
- 教職教養
- 専門教養
- 論文
第二次選考では個人面接があり、 対象となる校種・教科では実技試験も行われます。
SPI3を利用できるのは一部の校種・教科だけ
東京都では、教職教養に代えてSPI3を利用できる制度があります。
ただし、令和8年度実施選考で対象となるのは、 「中学校・高等学校共通 英語」と「中学校 技術」です。
小学校全科を含め、すべての受験者がSPI3を選択できるわけではありません。 自分の受験区分を必ず実施要綱で確認してください。
大学3年生前倒し選考も実施
大学3年生等を対象として、教職教養と専門教養を前倒しで受験する制度もあります。
選考を通過し、翌年度に同じ校種・教科で申し込むと、 教職教養と専門教養が免除される仕組みです。
ただし、翌年度の申込みは別途必要であり、 前倒し選考を通過しただけで最終合格になるわけではありません。
倍率に左右されず合格するための対策
1.自分の選考区分を最初に確認する
東京都には、一般選考だけでなく、 教員経験者、社会人経験者、大学推薦、前倒し選考など、 複数の選考方法があります。
免除される試験や必要書類が異なるため、 勉強を始める前に自分の選考区分を確認してください。
2.過去問から必要な勉強量を判断する
倍率ではなく、過去問を解いた結果から勉強量を判断します。
- 教職教養で何点取れるか
- 専門教養の苦手分野はどこか
- 時間内に問題を解き切れるか
- 論文を制限時間内にまとめられるか
まず一度、時間を測って過去問を解き、 現在地を確認することが重要です。
3.論文は読むだけでなく実際に書く
論文対策では、模範答案を読んだだけで書けるようにはなりません。
課題、原因、具体的な取組、期待する効果を整理し、 制限時間内に一つの文章へまとめる練習が必要です。
少なくとも、本番前には複数のテーマで実際に書き、 内容と文章の両方を見直してください。
4.面接回答を自分の経験と結び付ける
面接対策本の回答を、そのまま暗記しても説得力は生まれません。
自分が実際に経験したことを基に、 そのとき何を考え、どう行動し、何を学んだのかを整理します。
大きな実績である必要はありません。 アルバイト、教育実習、学校生活、仕事、地域活動などから、 教育へつながる経験を具体的に伝えることが大切です。
5.声に出して練習する
頭の中では答えられても、 面接官を前にすると言葉が出なくなることがあります。
回答を文章で完成させるだけでなく、 30秒、1分、2分など時間を変えて、声に出して練習してください。
東京都で2度最終合格した経験から
私は、社会人から教員採用試験を受験し、 時期の異なる東京都の選考で2度最終合格しました。
選考制度や倍率は、年度によって変わります。 しかし、合格のために必要な基本は大きく変わりません。
- 公式情報を確認する
- 過去問で現在地を把握する
- 苦手分野へ時間を配分する
- 論文を実際に書く
- 面接で自分の経験を具体的に話す
- 教育課題に対する自分の考えをもつ
倍率が低いから合格できるのではありません。
倍率がどう変わっても合格できる準備をした人が、最終的に強い というのが、私の実感です。
よくある質問
東京都の小学校は本当に1.2倍ですか?
直近の確定結果である令和7年度実施・令和8年度採用選考では、 小学校全科合計の最終倍率は1.2倍です。
ただし、現在実施されている令和8年度実施・令和9年度採用選考の 小学校全科の応募倍率は2.4倍です。
1.2倍なら、ほぼ全員が合格しますか?
いいえ。 1.2倍は受験者数と名簿登載者数から算出した全体の結果です。
必要な基準を満たしていなければ、 採用見込者数に余裕があっても名簿登載されるとは限りません。
応募倍率と最終倍率のどちらを見ればよいですか?
どちらも参考になりますが、意味が異なります。
応募時点の競争状況を見るなら応募倍率、 実際の受験結果を見るなら最終倍率を確認します。
数字を見る際は、対象年度と計算方法を必ず確認してください。
東京都の教員採用試験では誰でもSPI3を選べますか?
令和8年度実施選考では、SPI3を利用できるのは、 中学校・高等学校共通の英語と、中学校の技術です。
小学校全科では選択できません。
まとめ
東京都教員採用試験の倍率は、次のように整理できます。
- 直近の小学校全科合計の最終倍率は1.2倍
- 現在の小学校全科の応募倍率は2.4倍
- 現在の東京都全体の応募倍率は3.2倍
- 応募倍率と最終倍率は計算方法が異なる
- 校種や教科によって倍率には大きな差がある
- 低倍率でも基準を満たさなければ合格できない
- 筆記、論文、面接を総合的に準備する必要がある
倍率の低さは、受験を決断する後押しにはなります。
しかし、倍率を見て安心するのではなく、 今から何を準備すべきかを具体的に決めることが大切です。
私が実際の受験経験を基に作成した教材を、noteで公開しています。
実践教材を見る※選考制度、採用見込者数、日程等は変更される可能性があります。 受験時には必ず東京都教育委員会の最新の実施要綱を確認してください。
